140626_ml_01日本の会社や官公庁などの組織のほとんどに総務部門あるいは総務的役割を持った人が存在する。総務とは文字通り総て(すべて)を務める役割であり、会社組織においては、営業・販売、製造などの直接(ライン)部門以外の事務業務を専門に行う間接(スタッフ)部門だ。この「総務」なる部署が日本のオリジナル組織であることをご存じだろうか?

海外企業の多くの事務部門は、専門部署・専門担当として存在している。それに対して日本では総合的な事務部門として機能する場合が多い。日本の総務の原型は江戸時代の「番頭」に由来しているとの説もある。夫婦で起業した会社では、経理はじめ従業員の面倒をみる「おかみさん」が総務の基本的な役割を担っている、といったほうが分かりやすいかもしれない。
もちろん企業体が大きくなると総務部門から発展して人事・経理はじめ法務や経営企画、広報などの専門部署となっている。

総務業務の識者である下條一郎氏が書いた『強い会社は「総務力」で創る』は、総務担当者のハンドブックとなることを念頭に執筆されたものだが、実務の解説だけでなく「何のためにするのか」についても書かれているため、経営者や管理職など組織運営に課題を抱える方にも強固な組織を作るためのガイドブックとして効果を発揮する。

仕事をする上では、何がしかの無理が生じることが多い。その無理は自然解消できるものもあるが、蓄積されて疲弊しある日突然「リスク」として爆発することもある。これを未然に防ぎ解決していく能力が「総務力」なのだ。総務力」とは、会社組織を横断的に補佐することにより、見識の広さと調査・分析・企画を網羅する能力。のことである。
組織や働く人々、さらにはそれを支える取引先、家族、地域社会が抱える課題に対して、場当たり的な対処ではなく、全体を見渡し何が最優先か、どのような解決方法が会社として相応しいのか、という視点で一番最適なソリューション(課題解決)を提供することにある。

よく「全社的な視点で考える」という言葉が聞かれるが、それはまさしく「総務力」のことである。社員全体の「総務力」を磨くことによって危機を未然に防ぎ、危機が発生しても損失を最小限に抑え早期の回復が可能になってくる。
ラグビーの「One for All, All for One」精神に通じるのが「総務力」だ。専門的に優れたアイディアや実力を発揮する人と横断的に広い視野で支援する人の縦・横の組合せが、会社や組織を強くし末永く発展するための最大のポイントである。このバランスが崩れることが組織崩壊につながっていく。
『強い会社は「総務力」で創る』は総務実務に携わる方だけでなく、経営層・管理職といった組織リーダー達にお勧めの実務ハンドブックである。840円(税別)で全国の書店などで発売中。

[著者プロフィール]
下條 一郎 (しもじょう いちろう)

1944年東京都出身
池田書店編集部を経て独立し、『月刊総務』誌編集長を30年務める。現在、株式会社現代経営研究会代表。
著書に「新社会人のための総務のしごと」「図解でわかる部門の仕事・総務部」「総務部管理者の仕事」「ビジネスマナー」(日本能率協会マネジメントセンター)、「もっともわかりやすい総務部の仕事」「すぐに使える報告書・レポートの書き方」(PHP研究所)、「冠婚葬祭の心得」(生産性出版)等がある。

竹書房
http://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/5530831