未来の子どもたちに手塚治虫が伝えようとしたこと

150723_book_01だが安保法案などもあり、若者の中にも「戦争」というものを意識している人も多いだろう。これを知るのには、実際の体験者から話を聞くことが一番だが、先に述べたように戦争体験者の数は年々減り続けている。

そこで手にしていただきたいのが、この手塚治虫セレクション『戦争の記憶』だ。戦争体験者である手塚治虫が、自身の体験をもとに描いた作品をまとめたオムニバス作品集である。

自伝的な色合いの強い「ゴッドファーザーの息子」「紙の砦」「すきっぱらのブルース」「がちゃぼい一代記」「どついたれ(抜粋)」ら5作品と、創作を交えて戦争の悲惨さを語った「モンモン山が泣いてるよ」「ZEPHYRUS」「大将軍森へ行く」「てんてけマーチ」「カノン」「1985への出発」「溶けた男」、また根強い人気のブラック・ジャックから「やり残しの家」など、全13作品を収録。
そのどれもに手塚治虫の強い反戦の思いがこめられている。

手塚治虫が戦争を体験したからこそ発せられた「二度と戦争はしてはいけない! 戦争はごめんだ!」という心からの叫びは、これらの作品から感じ取れることだろう。
終戦記念日も間近のこの時期、「戦争」がどんなものだったのか実感するためにも本書を一読していただきたい。 そして今一度、「戦争」について考えてみるのはいかがだろうか?

三栄書房の手塚治虫セレクション『戦争の記憶』は価格537円(税別)。7月18日より全国のコンビニエンスストアで発売中。

手塚治虫セレクション 戦争の記憶
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=8298

About the author