東京モーターショーで「愛されるシート」に座ってみた

今年の東京モーターショーは何かと騒がしい。多くの海外メーカーの出展取り止め。東京オリンピック準備の関係で会場のビッグサイトが半分しか使用できず、お台場エリアを使っての広域エリア開催。豊田自工会会長が入場者数目標100万人を掲げ、家族で遊べる体験型のコンテンツが増え、グルメエリアも充実し、最新の車やバイクの試乗、お台場の夜空にドローンが500機飛ぶショーが行われるなど、大きく様変わりした。中でも、子供たちが実際に自動車メーカーの仕事を体験できるキッザニアは随分と好評を博しているようで喜ばしい。

【参考記事】
東京モーターショーで“Out of KidZania in TMS2019”に参加してきた
http://www.pronweb.tv/2019/10/28/191028/

また、お台場のMEGA WAVEは「FUTURE EXPO」と題し、90以上もの「未来を体験」できるエリアとなっている。自動車メーカーのみならず、NTT、Panasonic、NEC、富士通といった大企業が最新技術の展示を行う他、e-Motorsportsのイベントを開催するなど賑やかだ。

そのMEGA WAVEエリアで記者の目に留まったのが、ホンダなどにシートを提供しているテイ・エス テックのブースだ。車の運転席のような1人用のシートが数台設置されており、座っている人がモニターを見ながら、何やら楽しそうに足をバタつかせている、普段はお目にかかれない不思議な光景である。

聞けば、このシートはコントローラー代わりだと言う。モニターに映し出されていたのは「緩急走(かんきゅうそう)」というゲームアプリで、シートに座って姿勢をキープしたり(緩)、足をバタバタ動かしたり(急)することで、画面の中のバーチャルプレイヤーを前に動かし、順位を競うゲームとのこと。バブルサッカーなどに代表される、いわゆる「ゆるスポーツ」である。イスに座ったまま参加できるので、老若男女、障害のある人、ゲームの得意不得意や運動神経も関係なく参加でき、誰もが「イスリート」になれてしまうというわけだ。

面白そうなので編集部も参加させてもらった。足をバタつかせて進むのは容易なのだが、姿勢をキープするのに意外と苦労した。組まれていたコースが緩(静止)、急(バタバタ)、緩(静止)という構成だったのだが、最終エリアではスタート時の位置に重心をしっかり戻さないとセンサーが反応せず、前に進まないのだ。記者はなかなか元の位置に姿勢を調整できず、大きく遅れを取り、途中までトップだったものの、結局3人中最下位に終わり涙を飲んだ。イスリートへの道は遠い……。
しかしこれ意外と楽しい。足をバタバタしながら思わず笑顔になってしまった。ちなみに、オンラインで全世界の人と対戦でき、ランキングデータも知ることができるそうだ。ゲームの様子はぜひ公式動画をご覧いただきたい。

緩急走
https://yurusports.com/sports/kankyu-run

このシートは、同社が培ってきた自動車用シート技術とIoTを融合し、座った人の動きをセンシングすることで、コントローラーとして新しい楽しみ方を提案する、名付けて「愛されるシート」だそう。ゲームと連動させてレクリエーションを提供する他、今後もこれまでにない活用法を模索して行くとのこと。

自動運転技術など便利であることを最優先として期待される時代だが、快適性などだけでなく、皆が笑顔になれる何かしらの仕掛けがあっても楽しいだろうなぁと、新たな未来を見つけた気分となった。

愛されるシート
https://aisareru.jp/

緩急走
https://yurusports.com/sports/kankyu-run

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