2009/09/24 その他

スペシャリストに聞く── 大好評『星守る犬』にまつわるエピソード

10月には『漫画アクション』にて続編を掲載予定


星守る犬
『星守る犬』各書店で大展開中!
こちらのPOPは、「紀伊國屋書店 阪急32番街店」によるもの

 7月に発売されて以来、各書店で大プッシュされ、話題作となっているコミック『星守る犬』。
漫画アクション』に連載された作品で、お父さんと愛犬ハッピーの哀しくも幸せなストーリーが連載時より話題となり、単行本で発売されてから重版を重ねていることは、以前にもPRONWEB Watchでもお伝えした。
その後も同作品の話題性は衰えず、現在ではAmazonをはじめ、様々なレビューサイトに読者の声が寄せられている。
そこで今回PRONWEB Watch編集部では、著者の村上たかし先生と『漫画アクション』編集部の加納由樹さんに、現在の反響を受けての心境と、今後の展開を伺った。

──7月に発売された『星守る犬』が各書店で好評です。現在の率直な気持ちをお聞かせください。

星守る犬
『星守る犬』
村上たかし/双葉社
800円(税込)
村上先生:

 沢山の皆さんに読んで頂き、本当に感謝しております。また、今回、本当に多くの方にお世話になってこの本を出版することができましたので、作り手・送り手の皆さん方にも、大変感謝しています。

加納さん: 

 作品の内容には絶対の自信があり、また心底惚れ込んでいる作品なので、きっと読者の皆様に受け入れられるだろうと確信はしていましたが、広まるスピードが思ったよりずっと速く、それには驚いています。ご協力いただいた流通さん、書店さんに加え、お読みいただいた皆さんが自ら宣伝して頂いているようです。
また、当初予想していたより多くの世代に(特に女性に)読んで頂いているようです。本当に感謝の気持ちで一杯です。

──加納さんにお尋ねします。
村上先生の代表作『ナマケモノが見てた』『ぱじ』は、四コマ漫画で構成されており、読者にも四コマ漫画の作家という印象が強いかと思います。その上で村上先生に長編漫画の執筆を薦めたきっかけ、加納さんの想いを教えてください。

加納さん:

 『ぱじ』での圧倒的な物語性を受け、まず漫画アクションでの初仕事として『ぎんなん』というショートストーリーを依頼しました。
それは1話たった8ページの連載だったのですが、毎回溢れんばかりのドラマが繰り広げられていたんです。
そして同時に、4コマ漫画で培われた"省略の妙"がそこかしこに感じられました。この収まりきらないドラマ性と、省略力を合体させれば、素晴らしい長編ができるのではないかと思い、打ち合わせで提案させて頂きました。

──村上先生にお尋ねします。
加納さんから長編漫画の執筆を薦められた際、最初に考えたことは何でしょうか?また長編漫画という構成に対する抵抗や、実際の執筆にあたり苦労された事はありますか?

村上先生:

 一度も描いたことのないジャンルなので、本当に自分に出来るのかな?と思いました。
コマ漫画やギャグは瞬発力が勝負ですが、ストーリー漫画はマラソンのような持久力・構成力が必要です。今までとは全く違う、つかったことのない筋肉を必要とすることに、戸惑いを感じました。
また、絵が下手なので、少しでもリアリティーのある絵に近づけるように、トンボや風景や犬など、何でも実物を見てはスケッチしました。幸い、田舎に住んでいるので、トンボなんかもいっぱい飛んでますから、描き放題でした。

星守る犬
わんだーらんど・なんば店
星守る犬
ジュンク堂書店 千日前店

──amazon等、Webサイトにも『星守る犬』に対する多くの感想が寄せられていますが、そちらには目を通られていますか?もし目を通されていた場合には、感想をお聞かせください。

村上先生:

 はい、ときどき読んでいます。読者の皆さんの感想を読むことはとても勉強になります。細かいところまで、丁寧に読んで頂き、本当に感謝しました。
個人的に一番うれしい感想は、「読後、自分ちの犬を思わず抱きしめた」「散歩の回数が以前より増えた」「心ゆくまで電柱の匂いをかがせた」というような、皆さんのおうちの愛犬の待遇改善報告。(笑) 皆さん、飼い主と犬とが仲睦まじくて、癒され、和みました。

加納さん:

 はい、拝見させて頂いております。私自身、『星守る犬』という装置によってさまざまな思い出や感情が湧き上がりました。読者の皆様も同様に、さまざまな思いを発してくださっていて、とても嬉しく、また励みになっています。

──編集部や村上先生の元へ直接届いた読者の言葉の一部を、差し支えなければ教えてください。

星守る犬
「可愛くて出せない!」
との声多数。
村上先生:

 今回、読者アンケートのはがきを折り込んでもらっているのですが、そのはがきにも編集の加納さんがとてもこだわって下さってて、描き下ろしの犬のイラストがたくさんちりばめられています。
一通でも多く帰って来てくれるようにと、気合い入れて作って下さったのですが、逆にそれがあだとなり、「はがきが可愛いので出せません」とおっしゃって下さる方も案外多くて。(笑)
アンケートはがきには必ず全部に目を通すつもりです。切手は不要になっていますので、みなさんも是非アンケートはがきをお送りください。お待ちしています。

加納さん:

 『星守る犬』にはアンケートハガキを同梱しているのですが、これは青年漫画では珍しいかもしれません。ただ、どうしても本作をお読みいただいた皆様の感想を村上先生にお届けしたくて、このような形で入れさせて頂きました。
実は料金後納郵便(切手不要のハガキ)だとちょっと郵便料金が高くなるのですが、「恐らくこの程度しか来ないでしょう」と社内で相談して決めまして。
ところが蓋を開けてみると、毎日のようにハガキの束が届き、すでに1000通を超える勢いで、嬉しい悲鳴を上げています。小学生から、普段漫画を読まない70代の方まで、本当に幅広い方に読んでいただけているようで、ハガキを拝見していると何度も目頭が熱くなってしまいます。

──『星守る犬』には重要なキャラクターとして「ハッピー」と奥津さんの「犬」が登場します。
村上先生は数多くの動物キャラクターを描いていますが、今回の作品で犬を選んだ理由はあるのでしょうか。
また「ハッピー」に対し奥津さんの「犬」が最後まで名前で呼ばれなかった理由はあるのでしょうか?

村上先生:

 動物の中では、犬が一番好きです。一番心に残っているのは大阪で飼っていた『ポン太』という犬でした。離婚した父が、何故か急に買ってきて我が家に置いていった犬でした。
ほとんどなにもしてくれなかった父でしたが、置いて行ったこの犬には、僕も、妹もずいぶん癒され、救われたように思います。
実はその後、自分が「犬猫の上皮(フケ)」にひどいアレルギーを持っていたことが検査でわかり、それ以来、毛の生えた生き物を飼っていません(泣)。

 そういえば、昔、ムツゴロウ王国の取材のあと、ホテルで全身腫れあがって息ができなくなって、死にかけたことがありました。あれも、やはりアレルギーのショック症状だったようです。

 いつも犬や猫を飼いたい、飼いたいと思いながらも、カメや金魚を飼っています。こんなに犬好きなのに、犬を飼えない僕も、また星守る犬()です。(笑)

 「イヌ」ではなく、固有名詞を呼ぶと、ぐっと情が深まり、愛着がわきます。名前って不思議で、知った途端、生々しい体温を感じますよね。ここでは、あえて、犬の名前を明らかにしないことで、奥津と犬の、少し乾いた淡々とした距離感を描きました。

※星守る犬:犬が星を物欲しげに見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを表す。

星守る犬
恵文社 バンビオ店
星守る犬
喜久屋書店 京都店
星守る犬
丸善 お茶の水店

──作品には様々な登場人物と共に、海岸線の道のような印象的な風景が描かれています。
こうした風景にモデルとなった場所はあるのでしょうか?

村上先生:

 5歳の息子とよく遊びに行く、広島県の安浦から竹原にかけての海辺の景色をスケッチして描きました。瀬戸内海は島々が点在していて、波が穏やかで、優しい海です。広島って、海も山もあって、とても自然が豊かなんですよね。

──『星守る犬』について、今後の展開、構想があればお聞かせください。

村上先生:

 今回、ストーリー漫画という、新しいジャンルに挑戦することで、もう一度デビューさせてもらったような、新鮮な気持ちです。1年生のつもりで、色々と勉強しながら、ひとつひとつ丁寧に描いてゆけたらと思っています。
10月発売の『漫画アクション』に続編が掲載の予定ですので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

加納さん:

 10月6日発売号、10月20日発売号に続編が掲載予定です。宜しくお願いいたします。

──ありがとうございました。続編をとても楽しみにしています。

双葉社
http://www.futabasha.co.jp/
Web漫画アクション
http://webaction.jp/

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