「静岡まつり」2025年4月4日(金)~6日(日)で行われた「大御所観覧手筒花火」のVol.2を紹介しよう。5日(土)の手筒花火初日は、開始から大雨に見舞われてしまったが、2日目の6日(日)は、午前中に雨が残っていたものの、午後から晴れ間がでて、夕方には最高のコンディションとなった。
開会に先立ち、静岡まつり実行委員長の「久保田 隆(くぼた たかし)」氏は「この駿府城で、花火師さん達の手筒花火の炎で浮かび上がる桜を皆さんに見ていただきたいたい。あのとき、ここで桜を背景に凄い手筒花火を見たなという事を思い出していただきたいと思っています。」と挨拶を行った。

オープニングも、会場に集まっている観客に花火を配り、花火衆と共に点火を行い悪疫退散の祈りを込めて「希望の光」で世界平和の祈りから始まった。
この日に手筒花火を揚げるのは、郷島煙火保存会と奥大井煙火保存会、一色煙火保存会の3団体だ。彼らは自分達のパフォーマンスを披露するための準備にとりかかり、この日の手筒花火を打ち揚げるための手順など、安全確認の為の事前打ち合わせに余念がない。

手筒花火の開始前に、各保存会の会長さんたちに、手筒花火にかける思いを聞いた。
郷島煙火保存会の杉山 道明(すぎやま みちあき)氏の思い描く手筒花火の魅力とは?
「私がいつも思っているのは、お客様に喜んでもらえるような花火を揚げることを心がけています。もちろん火薬を扱うので安全第一を考えています。私たちの会では、手筒を揚げる時には腹掛けのみで手筒を揚げる人が多く肌を露出していますが、火の粉が熱かったりしても平常心を保つようにしています。火傷もしますよ。火傷跡とかも残ってますが、それはそれで勲章みたいなものですね。火傷をするような花火は、下手な花火なので、次はこんな花火を作らないようにしようと気をつけています。」


奥大井煙火保存会 大石 潤治(おおいし じゅんじ)氏が語る手筒の魅力は?
「私どもの会員は、現在23名で最年長は61才、最年少は26才です。平均でいうと40代ですね。この会の始まりが、郷島煙火さんから教えを受けて始まったので、郷島さんの教え通り忠実にやってます。郷島さんの言う「手筒花火の魅力は、なんと言っても高く舞い上がる火柱と最後の爆発する瞬間が魅力だ」という事を守りながら、お客様に楽しんでもらえるように心がけています。やはり手筒花火の見どころは、高く上がる火柱と最後のハネの瞬間ですからね。花火が主役なので、このハネの瞬間を見てもらいたいと思っています。
メンバーには、お祭り好きが多く、このような大人数の会場で何かをやりたいという人達が大勢集まっています。花火が主役ではありますが、自分を見て欲しいという欲求も多く、手筒花火の放揚を大勢いの人に見て欲しいというのがピッタリするのではないでしょうか。」



一色煙火保存会会長 森山 由郎(もりやま よしろう)氏の思う手筒花火の魅力とは?
「この会が結成されてから25年立ちます。会員15名で上は72才、下は20才です。
他の保存会の会長さんたちと同じですが、一番はお客さんに達に楽しんでもらうという事ですね。終わった後で、お客さんから今日の花火は凄く良かったとか綺麗だったとか言われるととても嬉しいものです。
季節や条件によって花火の揚がり方や色が違うので、私たちもその時々によって工夫を凝らし多少火薬の詰め方を変えたりしてます。やはり、お客さんに楽しんでもらいたいので、良い花火を揚げるように心がけてます。
手筒花火を一人前に揚げられるようになるのは、5年かかると言われています。僕らが教わったのもまず5年。火薬を錬り、詰めていくという作業を、疎かにできません。年に20本・30本揚げた人と年に2~3本しか揚げない人では、経験年数だけでは無く揚げ方に差がでてきます。
皆さんが経験をしっかり積んで、お客さんから良い花火でしたと言われたいです。」



この会場の最前列に座り真剣に見ているご家族に「手筒の魅力」を聞いてみた。
「実は、私の主人がこの手筒花火に参加していて凜々しい姿を息子と一緒に見に来ました。 主人は手筒花火保存会に入って10年くらいで、毎回、凄い手筒を揚げています。」小学生の息子さんは、「普段のお父さんとは違って、凄くカッコイイです。僕も大きくなったら 手筒花火の放揚をしてカッコイイ姿を友達に見てもらいたいです。」と誇らしげに語ってくれた。
また、会場の最前列で三脚にカメラを設置しているカメラマンの方々に手筒花火の魅力を聞いてみた。
<地元のカメラマン>
地元の静岡市から毎年見に来ているという男性の愛好家は「静岡まつりの手筒花火は最高ですよ。これだけの規模で行われるので、テンションが漠上がりです。何というか、手筒花火を見ていると私の心までも燃えてきそうです。」
<東京からグループで来たカメラ愛好家 >
東京・埼玉・千葉からグループで来ていたカメラマンの方々にも聞いてみた。 「私は東京から、OM SYSTEMズイコークラブという写真クラブの人達と一緒にきました。桜をバックに手筒花火が撮れるのはここだけだと聞き、2日間撮りに来ています。こんなに近くで手筒を見るのは初めてで、最後のハネの火の粉が直ぐそこまで降ってきて驚きました。」
「私も、こんなに間近で手筒花火を見るのは初めてです。昨年、OM SYSTEMズイコークラブのグループ展で、ここの桜をバックに和太鼓と手筒花火のコラボレーションの写真を見て、ゼッタイ見たいと思い連れてきてもらいました。やはり写真で見たとおり、 太鼓はありませんでしたが、桜が満開で最高のシュチュエーションで手筒花火を撮ることができました。来年も必ず来たいです。手筒花火保存会の皆さん、素晴らしい手筒花火を揚 げていただき、ありがとうございました。」
他にも、凄い望遠レンズを三脚に添えていた男性カメラマンは、「この望遠レンズで手筒花火を揚げている人の表情をアップで撮りたいと思っています。2日間続けて撮影できるので2日目の写真は良いのがあるのではないかと思っています。手筒花火は楽しいです。長時間かけて車で来た甲斐がありました。」と語ってくれた。
最後に活発そうなご婦人に話を聞くと、「私は神奈川からきました。数年前に膝を手術して人工関節を入れてから活発に動き回れるようになりました。今回も、この静岡まつりの手筒花火を撮影に行くと聞き同行させてもらいました。写真で見る手筒花火も凄いですが、目前で見る手筒花火はもっと凄いです。もう夢中でシャッターを切りました。手筒の炎で顔がハッキリ判るほど近くから見られて最高でした。機会があれば、来年も撮りにきたいです。」
会場の最前列に座ってカメラを構えている人々の眼差しは真剣そのものだった。

手筒花火は、天を焦がすような火柱と迫力満点のハネだけではなく、手筒の揚げ手と観客との気持ちが一体化する高揚感を共有することで、その魅力の虜になってしまうこと、間違いないだろう。
PHOTO&REPORT @JTPA TAKASHI OHTSUK
第67回静岡まつり 大御所観覧 手筒花火
◆期間:2025年4月4日(金)~4月6日(日)
◆会場:駿府城会場(駿府城公園)
◆主催:静岡まつり実行委員会
◆問い合わせ:054-221-0182(静岡まつり実行委員会事務局)
◆公式WEBサイト https://shizuokamatsuri.com/
◆大御所観覧手筒花火 https://shizuokamatsuri.com/event/fireworks/
※この情報は2025年「第69回静岡まつり」のもので次回のものは202026年にチェックをすること。
【手筒花火情報】(保存会としての公式HPが無い保存会はSNS等を引用)
◆静玉屋 https://www.hanabi-shizutamaya.com/
◆郷島手筒花火保存会 https://gouzimahanabihozonkai.eshizuoka.jp/
◆一色煙火保存会 https://kokokara-net.jp/articles/62
◆奥大井煙火保存会Instagram https://www.instagram.com/okuooi_hanabi_18/
◆長尾川手筒煙火保存会 youtube https://www.youtube.com/watch?v=FzmqD-Ck0pI
◆巴川手筒花火の会 http://tomoegawatedutu.web.fc2.com/
※HPを確認して最新情報を入手してから出かけよう。