三重県紀北町で行われた「きほく燈籠祭」 豪華絢爛な彩雲孔雀千輪に圧倒された。

三重県の南部に位置する北牟婁郡紀北町。ここは、世界遺産登録「熊野古道」の町として知られ、また「自然と共生の町」宣言を行い豊かな自然を次世代に繋ぐ海と山に囲まれた小さな港町だ。

ここで1928年(昭和3年)に旧紀伊長島町の赤羽川の川開きイベントとして、当時の青年団が数百羽の都鳥型燈籠を流したのが燈籠祭の始まりだという。一時中断があったものの1987年(昭和62年)から「全国に誇れるものは何か」というコンセプトから、全長35mを超える巨大燈籠を制作し、毎年巨大な大燈籠を制作し「きほく燈籠祭(とうろうまつり)」として現在に続いている。

この祭りを有名にしたのが、数年前からSNSで話題になっている彩雲孔雀千輪(さいうんくじゃくせんりん)と呼ばれる色彩花火だ。この花火は、彩雲孔雀という孔雀が羽を広げたような横広がりの花火の上方に、虹を描くように打ち上がる彩色千輪という花火が同時に打ち上げられるのが特徴だ この二つの花火が、会場の夜空を埋め尽くし長島港の海面に映し出される様は、まさに豪華絢爛で心震わせる花火だ。

この「彩雲孔雀千輪」は、堤防が折り曲がって設置されている湾の地形から彩雲孔雀と彩色千輪の打ち上げ角度を計算しつくされた、ここでしか見る事ができない珍しい花火だ。

きほく燈籠祭でしか見る事ができない「彩雲孔雀千輪」

今年、この花火を一目見ようと県内外から長島港がある小さな港町へ5万人もの観客が訪れた。町には著名人や多くの観客が訪れ大賑わいだった。運営側のご苦労も計り知れないものがあったようだ。駐車場で言えば昨年1,200台収容だったものを、今年は3,000台収容できるように場所を確保して迷惑駐車などを避け、観客の受け入れ準備を行った。

「きほく燈籠祭実行委員長」の北村 孝史氏は、「今年は、2005年に旧紀伊長島町と旧海山町が合併し紀北町が誕生してから20周年を迎えます。さらに四條畷市との友好都市提携30周年を迎える節目の年となるため、毎年考案している大燈籠を両市町のキャラクターである「きーほくん」と「くっすん」が仲良く釣りをするという姿を製作しました。

今年は、昨年以上に「きほく燈籠祭」を楽しみにしている観客の方々が多いため、事故や熱中症も無く・安全を期するなど万全の体制でお客様様方をお迎えしています。」と語ってくれた。

町のマスコットの「きーほくん」と四條畷市のマスコット「くっすん」が「彩雲孔雀千輪」との共演で会場の観客達に華を添えてくれた。

この「きーほくん」は、現在開催中の関西・大阪万博で9月22日に行われる「三重県の祭り紹介企画」で会場に登場する予定なので、その日に関西・大阪万博へ行くことがあれば、是非会場に立ち寄って見てみよう。

大燈籠「きーほくん」と「くっすん」

この「きほく燈籠祭」を地元の人や訪れた人達が、どのように感じているのかを聞いてみた。

◆この紀北町で生まれ育った76才の男性の方は、「昔の旅館をこの日だけ開放して、町に訪れた方々に休憩してもらうためのお手伝いをしている」と言う。私たちから見た燈籠祭は、この小さな町の名前が全国に広まるのはとても良い事で、嬉しく思います。そして、紀北町を訪れて良い思い出として貰えれば嬉しいです。」と嬉しそうに目を細めて語ってくれた。

憩い所

◆祭りを見に名古屋方面から来た女子大生グループは、「ここで行われる彩雲孔雀千輪という花火を見に来ました。凄い花火だと聞いているので、とても楽しみです。また、町も昔ながらの面影が残っていて情緒を感じさせてくれます。この紀北町を県外の皆さんに知ってもらいたいですね。」

紀北町 路地
紀北町 町の提灯

◆和歌山の岩出市から来た3歳の男の子と9ヶ月の赤ちゃんを連れた若いファミリーは、「SNSで、この彩雲孔雀千輪と言う花火を知り、是非見たいと思い初めて来ました。朝早く家を出て、駐車場にも停められて子どもたちと川や海を見ながら会場に来ました。目の前で花火が上がると言うので、今からワクワクしてます。」と楽しそうに語ってくれた。

まちあかりストリート
まちあかりストリート

◆愛知県の三河地方から初めて来たという素敵なカップルも、「数年前にSNSで知り、来たい来たいと思っていてやっと念願が叶って来ることができました。知り合い達の間でも話題になっているので、皆に自慢できそうです。」

県外から訪れる方々はSNSで、この「きほく燈籠祭」を知って、この彩雲孔雀花火を見てみたいという人が多いのには驚いた。関東や越後、東北方面でも色彩千輪の花火は多くあるのだが、このような小さな湾にリフレクションする花火は少いため、機会があれば是非、訪れてみよう。

こちらには「海の日名古屋みなと祭」「桑名水郷花火大会」「伊勢神宮奉納全国花火大会」「熊野大花火大会」など素晴らしい花火大会が沢山ある。

その中でも、この「きほく燈籠祭」の彩雲孔雀花火はオススメだ。小さな町のため宿泊は、近隣の市や町で宿泊するしかないが、交通機関もJR紀勢本線から臨時列車がでているので、こちらを利用すると便利だろう。いずれも、きほく燈籠祭の公式HPを確認してみよう。

Photo&Report  @JTPA TAKASHI OHTSUKA

扇打ち  Photo:本橋 秀郎

◆きほく燈籠祭 概要

2025きほく燈籠祭

2025年7月26日(土)

会場:三重県紀北町・長島港

主催:紀北町燈籠祭実行委員会 

TEL:080-8705-2612

きほく燈籠祭HP  https://touroumaturi.com/

紀北町HP     https://www.town.mie-kihoku.lg.jp/

※上記の情報は、2025年のものなので、来年の情報は2026年5月上旬頃に「きほく燈籠祭」で

 検索・確認すること。

熊野古道伊勢路HP https://www.kodo.pref.mie.lg.jp/course/08.html

海の日名古屋みなと祭HP https://www.nagoya-port-festival.com/

桑名水郷花火大会HP  https://kuwana-hanabi.com/

伊勢神宮奉納全国花火大会HP  https://www.city.ise.mie.jp/hanabi/

熊野花火大会HP https://www.kumano-kankou.info/kumano-fireworks/

※上記HPは2025年のものなので、2026年版は来年になってから確認すること。

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