朝ドラ『マッサン』の背景がよくわかる!夫婦の絆を描いた物語

140929_futaba_019月29日よりスタートしたNHKの朝ドラ『マッサン』。ウイスキーに人生を捧げ、夢に向かって進む主人公と青い目の“おかん”を描く、愛と冒険のストーリーだ。亀山政春役の玉山鉄二さんと、朝ドラ初の外国人ヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックスさんをはじめとする豪華役者陣の演技はもちろん、バグパイプの音色が本作品とスコットランドとの深い関わりをイメージさせる、中島みゆきさんによる主題歌『麦の唄』も印象深く、次回の放送が待ち遠しい人もいるだろう。

脚本は、『フラガール』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した羽原大介さんが手掛け、朝ドラのオリジナル作品として放映される。とはいえ、広島ロケではモデルとなった人物の生家である造り酒屋(酒蔵)にて行われるなどしており、当時の世界観をより理解しドラマをもっと楽しむにはモデル夫妻の生涯を知る事が近道になるだろう。

朝ドラ『マッサン』のモデルとなったのは、竹鶴政孝・リタ夫妻である。そして、この夫妻の生涯を分かりやすく綴ったのが、双葉社から発売中の『竹鶴とリタの夢』だ。著者は小樽ふれあい観光大使のほか、最近はジンギスカン博士としても各地域で活躍し、朝ドラでも重要な舞台のひとつ、北海道の余市町にも造詣が深い千石涼太郎氏である。

竹鶴政孝氏は寿屋(現在のサントリー)山崎蒸溜所初代工場長に就任して日本初の本格スコッチ・ウイスキー製造を指揮したのち、より本格的な製造を指向して大日本果汁(現在のニッカウヰスキー)を設立した、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる人物である。

『竹鶴とリタの夢』の記述によれば、政孝氏が洋酒製造業に足を踏み入れた当時、国内のウイスキーと言えば、穀物などを原料としたアルコールに香料を加えた“イミテーション・ウイスキー”と称されるコピー商品が主流だったそう。その日本に本物のウイスキー文化を根付かせるため、政孝氏はスコットランドに渡り、生涯のパートナーとなるリタさんと出会い、世界に誇れるウイスキーを誕生させる…… 本書では史実に加え、広島、大阪、余市など、政孝氏とリタの暮らした街々を著者が実際に訪ね歩き、単なる酒の話題ではない、人と人の関わりについても描き出している。

また、千石涼太郎氏らしいコンテンツである巻末に収録された「余市蒸留所の歩き方」は、秋の旅行シーズンに『マッサン』に想いを馳せながら北海道旅行を楽しむ人にもオススメ。今後ドラマで描かれるであろう、余市の町を先取りして体験するのも、この時期ならではのお楽しみだ。
双葉社刊『竹鶴とリタの夢』の価格は1300円(税別)。全国の書店およびオンライン書店で発売中だ。

竹鶴とリタの夢(双葉社)
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-30744-3.html

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